暗闇は
いつまでも続かない
光が灯れば
暗闇はなくなる
見なさい
夜空は暗いが
あなたたちにとってこれは
決して暗闇ではない
それに
あの星は
どのようにして
あなたがたの前で輝いているだろうか?
全ては一粒のからし種のような
小さなところからはじまったのだ
―星空散策 当日
ガヤガヤ…
今日は妙に来るの早くない?
嘘になるな…
俺っちもちょっと緊張してる
お前もそんなこと気にするようになったんやな
虐げられちゃうこともあるじゃん?
そんなに虐げられたんか?
ワタルにおいては
空気読まない方がいいってことか
人との付き合いって
気遣いすぎなくてもいけないというか…
一人で見に行った方が楽か?
そいういうこと言ったんじゃないからね?!
…
わしらは互いに生きている限り
気遣わずに生きることはできへん)
コツ コツ
…ごめん、お待たせして…
今日は奮発して熟睡できる車にしたんだから!
動かせば上も寝れるみたいだから!
シドウ、もうここに住んだらどうや?
ありだけどね!
わしがコーヒーぶちまけた時のやろ
こんな目に見えるところに置いてたらわかるやろ…
おれっちが置きたくて置いただけだし
メロンパン食べたところだって!
凄まじいバラエティやの
紅茶味にしてみようかな
パンの種類まで落ち着いてんなあ
ブロロロロロ…
…
キキーッ
バタン…
暗いから気をつけてね!
降りたらすぐ見える場所だから安心して!
ザッザッ…
座って見たのって
二人はその辺で座っててよ!
なんも変わらんのお…
一番上のやつね
あの辺りには、どれだけの星があるんやろなあ…
小さな小さな星屑の一つに
すぎないんだよね
わしらはこんなところまで来るんやな
ザッザ…
あとで二人にも送るね!
宇宙と一つになれる感じするよねえ〜
天と呼吸を一つにできる感じっちゅーか
宇宙の中に生きてるって感じ!
けどわしらの中には…天国もあるんやろ?神さん)
宇宙の誕生について
ビックバンってやつか?
一つに凝縮されてバーン!!みたいな
「灼熱状態の宇宙が誕生したこと」をビックバンっていうんさ
灼熱状態の宇宙じゃない状態があったってことか?
なんもなかったんか
そんな無の状態から、原子や原子核レベルの小さな宇宙が誕生したって言われてるんだ
1ミリメートルの1兆分の1とか?
ものすごい膨張をするんさ
1兆倍以上の膨張を起こしたんだ
インフレーションって言うんよ
インフレーションを引き起こした何かしらのエネルギーが
宇宙に満ちてたっていうけど…
95%もあるからね
まだわかってない謎がたくさんあるんよ
いろんな不思議が絡みあっとんのやなあ
物質や光が誕生したのも
宇宙が灼熱状態になったからだし
物質も光もなんも存在しない
時代があったんやな
ビックバンのあとも
暗黒時代っていうのもあってね
でも約2億年間、星も天体もない
なんの変化がない時代があったんよ
ほんまに真っ暗だったってことか?
ただ水素とヘリウムのガスだけが漂っていたんさ
ものすごい時代なんよ?
何がすごいんや?
「煌びやかな恒星や銀河が生まれる環境を育んだ」と
言われているんよ
”重力”が働くんだけど
どんどんガスが集まってきたんだって
天体が生まれるようになった
星の種になった
ファーストスター!!
”恒星の誕生”なんよ!!
核融合反応で発生するエネルギーで
自ら光り輝くことができる星なんだ
何もない暗黒の時代に
この星たちが出てきたんよ
星屑って言われちゃうけどさ
暗闇だったってのが驚きだよね
今は暗くても、
きっと明るく照らされる時が
来るんじゃないかなって思うんだよね…
この星空のように…
自分の状況のこと
暗黒時代のように長く感じるかもしんないけど…
思うんだよね
話す準備でもしてきたんか?
俺っち、今清掃業しててさ…
ワタルにも嘘ついたんだ
自分が屑みたいに思えちゃってさ…
人に認められなければ
評価されなければ
うまくいかないってことが
昔から気にしてたのかなって思うと
…だから
ほんと、ごめん
あれからワタルと10年以上会えなかったじゃん?
俺なりに…
ぼくこそ、ごめん。気を遣わせて…
未だに何もできない自分に対して…
「過去に縛られて何もできない」って
ぼくは何も変わってない
自分と向き合おうとしてきた…
自分が惨めに思えたんだ
道端のゴミのように思えて…
死にたくなって…
死ねないんだよね
未だに僕は母の食事がないと生きていけない
…
部屋に置いてくれる食事を
ただ食べて生きるんだ…
生きるエネルギーもないのに…
ただ食べるだけで…
…それが
罪悪感なんだ…
ドシンッ
…!!
お前なんか消えてしまえ…ッ!!!
こんな自分
死ねばいいんだ!!!!
お前なんて…っ
もう…っ
…
やめなさい
!!!
私はあなたという存在を
ありのまま
愛している
ただ、愛している
わかるか…?
!!
…わしもや
自分を愛してあげることができんのや
つくることができなくて
惨めで仕方がなくて
バッジにして、胸張って生きとる
経歴も学歴も
恋人がいるとかいないとか
お金があるとかないとかもそうや
そういうことに
縛られて生きとんのや
自分を愛することができなくて
自分で自分を惨めに思って生きとんのや
けどワタル…
世の中が求める基準が
ほんまに正しいと思うか?
そんなもんに
わしらは縛られて
生きる必要はあるんやろか?
…
神様は
そんな縛られる人生のために
こんな壮大な宇宙と
星のような人間
つくったんやろか…?
縛られて生きる人生を歩ませようとして
神が人を造るだろうか…?
これほど壮大な宇宙を造るだろうか…?
星々を見てみなさい
宇宙世界に多くの星があるけれども
熱いか冷たいか
ガスで満ちているかで
生き物一匹
昆虫一匹だって
生きることができないだろう?
地球だけが、命が生きることができる
胎盤のような世界ではないか。
それはまるで
宇宙の中の天国のようではないか?
他でもなく
あなたたち人間のために
宇宙世界を造ったのだ
あらゆることで
縛られて生きる人たち
自由になりなさい
そのために
私の言葉を聞きなさい
闇から光をつくったのは
ただ神の御言葉によってだ
私という
光があることを知りなさい
私の言葉は
あなたの根っこまで
霊魂まで自由にさせる言葉なのだ
…いくらでもつくろう
天国を
あなたの中に
建設するのだ
からし種ひとつだとしても
いずれ大きくなる
だから
自分自身に
あきらめてはならない
ブッブー
「天国は、一粒のからし種のようなものである。
ある人がそれをとって畑にまくと、それはどんな種よりも小さいが、
成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、
空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」
(マタイによる福音書13章31節~32節)
…
そうなるまで
あきらめません
神様…
バタン…っ
…おれっちは全然一泊してかまわないけど…
俺っちは星見えるとこに移動して
一泊しようと思うからさ!
じゃあ簡単なメシ、コンビニで買ってこ!
ブロロロロ…
…
バタン…
元気でね!
…
…また
…また星見に行くとき
…誘ってくれるかな?
きっと…
何??どういうこと!?
なんとなく言っただけや
ギシギシ…
こんな遅くまで
どこ、行ってたの…?
!!
ちょっと空を見に…
…
…
お母さん
…
ありがとう
…ギイ…
バタン…
…
(ぼくは
いつまでここに
いるんだろう…)
…
(…いつまで)
…っ
…
結局ヒロフミとは会えずか?
まあ、気持ちの整理は長くかかることもあるさかい
ブッブー
ほれ、前話したやろ?
大学の友達で芸術家がおるって
オヤビン
この前はありがとう
久しぶりに三人で星を見て
話すことができてよかった。
シドウにもよろしく伝えておいてほしい
ブッブー
それと
絵が、完成したんだ。
直接は見せられないけど
よかったら…
(神さん…
やっぱワタルは
芸術の根っこがあるのお)
ちょっと元気もらいました
本人にとっては
大切な期間でもあるんですよね
ぼくも
立ち止まらずに
ちゃんと向き合ってみます
(大丈夫、神様が共にしてますもんね)
ありがとうございます!
帰りますね!
バタン
きっと
…
タッタッタッ…
伝えよう…お母さんに…!
コツ コツ…
あの人…
…もしかして…
…お父 さん…?
友人編A fin
(次回 友人編Bへ…)